商品の「品番」は在庫管理・流通・販売などさまざまな場面で重要な役割を果たします。
一見すると英数字が並んでいるだけに見えますが、実はしっかりと意味があるのをご存じでしょうか。今回は、マーキングフィルム「ビューカル900シリーズ」の品番の意味について詳しく解説します。後半は見本帳の見方を解説していますので、ぜひ最後までご覧ください。
1.マーキングフィルム「ビューカル」とは
「ビューカル」はサインやディスプレイ装飾などに使用されるマーキングフィルムで、昭和40年代後半に誕生しました。当初は「ファスカル」という名称でサイン業界向けに上市、後に「ビューカル」として再ブランド化されました。当時のサイン業界は、ペンキを使って文字やデザインを手描きすることが一般的でした。そこで桜井はマーキングフィルムの販売に伴い、業界初のコンピューターでマーキングフィルムをカットするカッティングマシンを開発、販売を開始しました。「ビューカル」は作業の効率化や生産性を向上させる製品としてマーキングフィルムの普及に貢献してきました。現在「ビューカル900シリーズ」は多様なデザインニーズに対応するため、不透過168色、透過49色、半透過16色(2025.1現在)のラインアップを揃え、幅広い用途で活用されています。
2. マーキングフィルム「ビューカル900シリーズ」の品番を読み解く
品番の構造
VCのすぐ後に続く3つの数字には、それぞれ次の情報が含まれています。
一番目の数字:グレード
二番目の数字:基材の仕様
三番目の数字:色の系統
※「枝番」は同じ色の系統の中で色ごとに割り振られた数字です。
以下で、それぞれを詳しく見ていきましょう。
◆1番目の数字は「グレード」
現在、ビューカルは「900/920/930シリーズ」「880/860シリーズ」のグレード展開をしています。それぞれ、製法や用途、耐候年数などに違いがあります。
900/920/930シリーズ:先頭の数字が「9」
屋外耐候性5~7年のマーキングフィルム
※920/930シリーズは屋外耐候性5年
880/860シリーズ:先頭の数字が「8」
屋外耐候性5年のスタンダードクラスのマーキングフィルム
◆2番目の数字は「基材(塩ビ)の仕様」
基材は塩ビになります。
表面の風合いなど以下の5種類があり、2番目の数字で判別できます。
グロス:0
マット:4
セミグロス:5
電飾(透過):2
電飾(半透過):3
◆3番目の数字は「色の系統」
ビューカル900シリーズは、不透過168色、透過49色、半透過16色(2025.1現在)を展開していますが、同じ系統の色であれば3番目の数字は共通です。
白系:0
黒系:1
黄系:2
赤系:3
紺系:4
緑系:5
茶系:8
青系:9
「VC90929」に当てはめると900シリーズのグロスで青系統の商品であることがお分かりいただけるかと思います。
色の表現として「マンセル値」をご用意しています。
下記記事でマンセル値について解説しています。ご興味がございましたら是非ご覧ください。
【補足】
ゴールド・シルバー・メタリック品番
ゴールド、シルバー、メタリック系は独立した品番体系になっています。
ゴールド系:VC957~
シルバー系:VC956/VC957~
メタリック系:VC958~ ※メタリック系では4番目の数字が色を表します。
3.マーキングフィルム「ビューカル900シリーズ」見本帳の攻略
見本帳には品番やカラー名の後ろに記号や注釈が記されているものがあります。その記号や注釈の意味を理解することで商品の特性をさらに深く知ることができます。
◆「□2」は2層品
表と裏の色が異なります。
色の深みを出すために2層構造にしたフィルムで、通常のフィルムより若干厚くなっています。
◆「□W」は白糊
表と裏の色が異なります。
基材は1層ですが、糊を白色にすることで発色を鮮やかにしています。
下地の色を拾わず、本来の色を再現できます。
◆「□G」はグレー糊
表と裏の色が異なります。
グレー糊を使用することで下地の色を拾わず、本来の色を再現します。
◆表記なし
表と裏の色が同じです。
透明糊を使用しており、窓ガラスなどに内貼りする際に外に向けて同色の表現が可能です。
◆※注釈
注釈なし:標準規格品 1,010mm×10m
※1:1,010mm×50mの規格があります。
※2:505mm×10mの規格があります。
※3:青剥離紙を使用しています。(標準は白剥離紙)
青剥離紙はカストリ時の視認性が向上し、作業効率アップ・ミス防止に貢献します。
※2025年1月現在 ビューカル900シリーズの見本帳が在庫切れとなっており、新カタログの印刷に向け現在準備を進めています。ご迷惑をおかけして申し訳ございません。色見本が欲しいというお客様におかれましては、短冊でのご提供をさせていただいています。ご要望の際は上記ボタンよりお問い合わせください。
4.まとめ
いかがでしたでしょうか。
ビューカル900シリーズの品番には、「グレード」「基材の仕様」「色の系統」の3要素が数字に反映されており、製品仕様を読み解くための情報が詰まっています。さらに見本帳の記号や注釈を確認することで、商品の特性を詳しく理解できます。品番や見本帳の情報を活用することで、用途や仕上がりに適したビューカルを選ぶことができます。本コラムが、マーキングフィルム「ビューカル」をお選びいただく際の一助となりましたら幸いです。
執筆者紹介
七里 聡
1993年 桜井株式会社に入社。
自社で販売するシステムのメンテナンス部隊で機械に強くなった傍ら、Illustrator®を駆使して社内外のデザイン業務を担う。現在はソリューション営業部で日々Webマーケティングの勉強をしながらWeb製作に身をささげる。夢はザック一つで日本縦断旅行をすること。